性犯罪が生まれる要因

性犯罪を起こしてしまう人に対して、なぜ人を傷つけるし、逮捕されることもあるのに
そんなことをしてしまうのか疑問に思う方は多いと思いますので、まずは性犯罪がなぜ
起こるかということについて説明します。

性犯罪に当たる行動は、明確な原因があって起こるのではなく、複数の要因が重なって
起きます。

ある結果を招いた明確な理由であり、それがなければ結果も生じないというものです。
要因は、ある結果が生じることに影響を与えたものであり、要因の一つが欠けたとして
も結果は生じることがあります。

性犯罪が起きる要因として考えられるのは、下記のようなものがあります。

  • 性欲・・・先天的に持っているものなので亡くならない要因です。
  • 性癖・・・後天的に身につくものですが、変えることは難しい要因です。
  • 環境・・・環境が性欲や性癖を刺激して性犯罪が起きることがあります。
  • ストレス・・・ストレスレベルが高いと性衝動を抑えにくくなります。
  • 依存性・・・依存性が高いほど、性嗜癖行動を繰り返すようになります。

性犯罪とそれぞれの要因の関係

性欲の影響

性犯罪が起きる要因の中でも性欲は誰もが持っていて、男性なら女性に対する興味
の源となるものです。
性犯罪を行うことに関係していますが、性欲があることが性犯罪が起きる原因には
なりません。

性癖の影響

性癖に関しては、性格には性嗜癖と言い、性嗜癖をもとに起こす行動を性嗜癖行動
と言います。
偏った性嗜癖行動を持っていて、それが犯罪につながるものであれば性犯罪を行う
可能性は高まります。

環境の影響

性犯罪当事者が、バレずに行動を起こしやすいと勘違いする状況が存在する環境の
中で性犯罪が起こります。
駅や職場などで盗撮がしやすい、人混みや暗闇で痴漢をしやすい、人通りが少ない、
密室である、という環境で性犯罪をした人は、似たような環境で衝動が起きやすく
なります。

ストレスの影響

ストレスは、感情や衝動のコントロールを担っている前頭前野の働きを低下します。
そのため、ストレスレベルが高い時ほど、欲求を優先する行動を取りやすくなる
ため、ストレスが性犯罪の要因となるのです。

依存性の影響

依存性は、嗜癖行動を行う際に起きる脳の興奮を再体験したいと思う性質です。
性犯罪を繰り返すほど依存性は強くなっていくので、依存性が高くなると他の
要因が弱くても性犯罪を起こしてしまうようになります。
そのため、性犯罪は再犯が起こりやすい問題なのです。

カウンセリングで要因への対策を考える

性犯罪の再犯を防ぐためのカウンセリングの役割はいくつかありますが、性犯罪が起きる
要因への対策をクライエントと一緒に考えることもその一つです。

カウンセリングの役割として大きいのは、ストレスコントロールです。
性欲が強く、性癖が特殊であっても理性でコントロールできるように、ストレスによって
前頭前野の働きが低下しないようには、どのような生活習慣を築けばいいのかを一緒に
考えていきます。
中にはストレス要因が職場にある人もいて、転職をすることで大きくストレスレベルが
低下する場合もあります

環境への対策としては、自分の衝動がどんな場面で高まっていたのかを再確認して頂き、
その環境が避けることができるものなら避けてもらうこともあります。
避けることができない環境だとしても、性衝動が高まった時の対策として指導している
条件反射制御法を用いて衝動をコントロールするため、どのような環境に注意が必要かを
自覚して頂きます。

依存性へに関しては、自分が行ってきたことを振り返ってもらい、依存性が性犯罪を
繰り返す要因であったことを自覚してもらい、性犯罪は止め続ける努力が必要な問題
であることを認めてもらうよう話をしていきます。

カウンセリングでは、性犯罪が起きる要因に対して上記のようなアプローチを行って
います。