カウンセリングの中で、依存症の人たちの話を聴くことが多いので、依存症に
なっている人に見られる親子関係の特徴について書きたいと思います。
自分が依存症であるという方、周囲に依存症の人がいるという方は、改善の
参考にして下さい。

依存症につながる親子関係と習慣

依存症は、自分の欲求を適切にコントロールできない病気です。
アルコール、ギャンブル、買い物、性嗜癖、盗癖などに関する依存は、行動が
習慣化している状態ですが、依存症になっている人は問題となる行動が習慣化
してしまう前の段階から、依存症につながる習慣を持っていることが多く、
その習慣は親子関係によって作られているケースもあるのです。

本音を抑え込む習慣

依存症になっている人の話を聴いていると、親に自分の意見を受け入れてもらえな
かったという体験を持っていて、成長過程のあるタイミングから自分の意見を抑え
込むようになり、いつの間にか自分の心の中に生じる欲求に鈍感になってしまって
いたという傾向があります。

依存症の人は、自分の本音に気付いていないということや自分の本音を抑え込む
我慢強さを持っていて、職場などでは一見接しやすい人、従順な人だと思われて
いることもありますが、生活の中で適度に自分の欲求を満たすことができていない
ために、突然何かに過度に依存してしまうということがあります。

親にうそをつかれる習慣

親に良く嘘をつかれていたという人も依存症になりやすいと言えます。
その嘘とは、最初から騙そうとした嘘というよりは結果的に嘘になってしまったと
いうものです。

例えば、親に欲しいものがあると言った時に誕生日やクリスマスまで待つように
言われて、そのタイミングで買ってもらないということがよくあった。
または、遊園地に行きたいと言ったら、春休みまで待つように言われたけど、
春休みになると他の予定で親が忙しくなり連れて行ってもらえないということが
よくあった。

このような場合は、子供は求めるものがあると、すぐに手に入れないと得られる
ことはないという学習をするため、欲求が生じたらすぐに満たさずにいれない人
になってしまいます。

依存症の親によって生まれる習慣

実は、依存症を改善するためにカウンセリングに来ている人の親が依存症だった
というケースも少なくありません。
同じタイプの依存症になっているケースもあれば、別の依存症になっているケース
もありますが、親が依存症である場合、親の言動を見ていて子供にも依存的な思考
パターンが形成されてしまっている可能性が感じられます。

親が依存症だと、生活習慣の中で依存症につながる小さな習慣が増えるため、生活
の中で依存的な思考、行動が身についています。

親子関係を振り返り依存症を克服するカウンセリング

カウンセリングでは、親子関係が依存症に関係していると感じた場合は、
その人に自分の親子関係を振り返ってもらいながら、自分の依存行動と親子関係
のつながりを洞察して頂きます。
このような取り組みを続けることは、自分の内面に向く意識を強めることが目的
で、本音や衝動に気付けることにつながります。

また、親子関係によって上手く成長できていない心理的な働きを高めることも
カウンセリングの目的です。
本音を感じる、本音を伝える、欲求を抑える、欲求を満たすタイミングや方法を
適切に選ぶ、想像力と決断力を鍛えるなど、カウンセリングの中で行う対話は
このような心の働きを鍛えるものでもあります。

カウンセリングは、親子関係で不十分だったコミュニケーションを集中的に
体験する時間でもあり、それほど心の成長には親子関係のコミュニケーション
は大切なのです。

依存症になっている人は、依存行動を止めた段階で改善したと思ってしまう
傾向がありますが、依存行動につながる心理的要因を改善する必要があり、
そのためにカウンセリングの中で親子関係を振り返り、自分の精神的な成長
を進めて行くのです。

記事の投稿者


心理カウンセラー衣川竜也