依存症を克服して自分の生活を立て直そう思って依存行動を止めていたのに、何かを
きっかけに依存行動を始めてしまい、何度も繰り返すようになってしまう人は少なく
ありません。
今回の記事は、依存症の克服に失敗したと思っている人に知っておいて頂きたいこと
を書いています。

なぜ依存症の克服に失敗するのか?

アルコール、ギャンブル、買い物、性嗜癖、盗癖など、依存行為を止めようと思っても、
止めることが難しいのにはいくつかの理由があります。
まず、その理由を知ることがは大切です。

依存症が克服できない主な理由は下記のとおりです。

  • 依存行動は習慣化しやすい
  • 否認の心理
  • カウンセリングの中断

では、これらの理由について1つずつ説明します。

 

依存行動は習慣化しやすい

人間は行動を習慣化して生活をしています
例えば、歯磨きをすることやお風呂に入ることは習慣化していると思います。
これらは健康や清潔を保つというメリットがある行為です。
他には、勉強をしたり、身体を鍛えたりすることを習慣化している人もいます。
どちらも自分の能力が向上したり、自尊心が高まるというメリットがあります。

上記のような行動なら、習慣化することが望ましいのですが、依存症につながる行動は
上記の行動よりも習慣化しやすいという特徴があります。
その理由は、快楽というメリットを得ることが容易な行動が依存行動だからです。

アルコール、ギャンブル、買い物、性嗜癖、盗癖などの行為は、高揚感、興奮、達成感
などの報酬が容易に得られる行為です。
受験で合格するため、仕事やスポーツで活躍するための努力は、努力という行動の後に
報酬を得ることはできませんが、依存行動は、その行動の直後に報酬を得られるため、
行動が習慣化されやすいのです。

依存行動を再開させてしまう条件反射

習慣化された依存行動は、ある刺激を受けると行動が誘発される条件反射という状態に
まで強化されてしまいます。
これは、特定の刺激を受けると、反射的に脳内でドーパミンという物質が放出されて
後先を考えずに行動を起こしてしまう状態です。
依存症を克服しようと行動を我慢していても、ある日脳内でドーパミンの働きを活性化
する刺激を受けてしまうと行動が再開されてしまうため、克服に失敗してしまうのです。

言い訳を生む否認の心理

依存症の克服を妨げる要因には否認の心理というものがあります。
否認の心理は、自分の問題点や弱さ、依存を引き起こした心理状態など、都合の悪い
ことを認めようとしない心理です。

依存行動を止めている時期に、ある刺激を受けて条件反射が生じて依存行動を行い
たい衝動が生まれた時、否認の心理が強いほど衝動を行動に変えても良いと、自分に
言い訳をしてしまいます。

否認の心理が強いと、もう繰り返してはいけない行動があったとしても、他人や環境
のせいにして行動を起こしてしまいます。

カウンセリングの中断

依存症に対するカウンセリングは、依存症のメカニズムを把握した上で依存行動の
習慣化や条件反射に対する対策をアドバイスしていきます。
また、否認の心理の改善も踏まえて話を進めていきます。

依存症の人は、カウンセリングを継続しているうちは依存行動を止めることができて
いる場合や依存行動を行っても過ちを認め、その理由を話す機会があるので、習慣化
しにくい、否認の心理が弱まっていく傾向にあります。

しかし、一時的に依存行動が止まっている状態、否認の心理は改善されていない状態
でカウンセリングを中断してしまう人も多く、中断の後に依存行動を再開してしまう
ケースは少なくありません。
新しい習慣の確立、否認の心理の改善が十分に行われていない段階では、依存症を
克服できたとは言えないのです。

再度、カウンセリングで克服を目指す

依存症の克服に一度は失敗したという人は、再度カウンセリングで克服を目指して
欲しいと思います。
失敗は可能性が絶たれることではありません。
なぜ自分は克服できなかったかを見つめ直し、克服につなげることが大切です。
依存症の相談実績が豊富なカウンセラーは、克服の方向性をしっかりと意識して
カウンセリングを進めていきますので、信頼をして相談して頂ければと思います。

依存症に変わる習慣の確立

人間が何かに依存することは異常なことではありません。
大切なことは依存する対象を間違わないこと、依存の程度をコントロールできると
いうことです。
1つものに過剰に依存してしまうのではなく、適度に依存の対象をばらけさせて
依存により健康的、経済的、人脈的、社会的な弊害が生まれない等にすることが
必要です。

カウンセリングでは、話を聴きながらどのように習慣を変えていくことが望ましい
かを見極めて、新しい習慣の確立を支援していきます。

否認の心理の改善

依存症の人がカウンセリングを継続する必要性の1つが否認の心理の改善です。

カウンセリングをでは、依存症の人は否認の心理が表れている発言を無意識に
行ってしまいます。
カウンセラーは、否認の心理が感じられると指摘をするので、カウンセリングを
継続する中で否認の心理を改善しようという努力が始まります。
簡単に改善できるものではありませんが、自分の思考パターンを認めて変えよう
と意識して生活することが、否認の心理を改善に必要なことです。

依存症の克服を一度は断念してしまったとしても、再度カウンセリングによって
根気よく習慣の確立、否認の心理の改善を行うことが大切です。
一度は依存症の克服を断念していたとしても、再スタートで良いので依存症を
克服するためにカウンセリングを活用して下さい。

記事の投稿者


心理カウンセラー衣川竜也