痴漢で逮捕されたら大変なことになるだろう。

でも、自分だったら許してもらえるかもしれない。何とかなるかもしれない。

だって自分だから。

実際には何ともならないのですが、痴漢をしてしまう人は「自分だったら何とかなる、何とかしてもらえる」という特別感を持っています。

これは幼児的万能感と言われるもので、赤ちゃんのときに泣いたらおむつを替えてくれて、ミルクを飲ませてくれて…小さい頃誰もが抱いていた自分中心に世界が回っているような感覚です。

本来なら大人になるにつれ思い通りにならないことにぶつかり、自分の思い通りにならないんだなと実感していく。

繰り返していくうちに幼児的万能感はなくなるのですが、自分の思い通りになることが多かった人ほど残っています。

何とかなると思えるから痴漢ができてしまうわけです。

幼児的万能感が残ってしまう原因

わがままが許された家庭環境

欲しいものがあれば言わなくても買ってもらえる。

親がダメと言っても代わりに祖父母が買ってくれた。

最初はダメと言われても泣きわめけば、最終的にして欲しいことがしてもらえた。

家庭環境で自分の思い通りになる経験を重ねてきた人ほど幼児的万能感が残っています。

過干渉、過保護の親が多く、お互いに依存しあう共依存の関係になっているケースがほとんど。

親に良くしてもらった、愛されたと思っているのですが、子供の問題としっかり向き合わず表面的な対応をしてきただけです。

子供の機嫌が悪いときに飴を与えて治めるというその場しのぎの繰り返しが幼児的万能感を残らせたと言えます。

実際に何とかなってきた人生

幼児的万能感を持ち続けている人の経験をお聞きすると、大きな挫折経験もなく何とかなってきたことばかり。

どうにもならないほどの悩みを抱えて苦しんだ経験はありません。

絶対にやりたいことがあるわけでもないから、必死に頑張って何かを乗り越えようとしたことがないのです。

親に言われるがまま勉強して大学に行って就職して…

自分で何とかしたわけではなく、流されていたら何とかなってきたという経験ばかり。

流れに乗っていて気付いたら今に至ったかのような人生になっています。

できないことにはチャレンジしない習慣

何でもできる自分に価値を感じているため、「できない」という現実が受け入れられません。

だから、絶対にできる確証があればやるのですが、できない確率が高いことは避けています。

やったとしても全力を出さず「全力を出せばできたんだ」と何でもできる自分を守るのです。

やらないかやっても本気ではないため、本当に自分がどこまでできて、できないかがわからないまま。

上手くいかなかったことを環境や他人の責任にする傾向も見られます。

自覚できないところで多くの問題が起こっている

幼児的万能感は性犯罪につながる危険因子としてだけでなく、他にも様々な問題を引き起こします。

  • 自分の思い通りにならないことがあるとものすごくイライラする
  • 思い通りにしてくれない相手に攻撃的になる
  • できないことがよくわかっていないから成長しようがない
  • 相手に負担をかけていても気付かない
  • 客観的に見れば関係ないことも自分のせいだと思い込む

人とのかかわりに支障をきたしたり、些細なことでストレスを感じやすくなったりする。

幼児的万能感は赤ちゃんと同じ感覚であるため、周りに依存することでしか生きられません。

しかし、自分はできるという感覚があるから周りに対して横柄な態度を取って困らせます。

自分としては上手くいっていると思う関係もすべて、相手が合わせてくれてなんとか成り立っているわけです。

幼児的万能感をなくしていくためにまず自覚する

幼児的万能感をなくすことは痴漢をしないようになるために重要です。

それだけでなく、自覚できないまま周りに負担を掛け続けてきたコミュニケーションの改善、成長できないままになっている自分を変えていくこともつながります。

幼児的万能感を自覚するのは幼児性を認めることになるから抵抗があるのは間違いありません。

仕事をしていて家庭を持っていて、普通に社会生活を営んでいるはずの自分に幼児性があるなんて信じられないことでしょう。

しかし、認めないことにはどうしようもないのです。

法律上やってはいけないことだと頭では理解しているのに、自分なら許されると思ってしまう感覚がある。

痴漢をしたにもかかわらず同じ電車に乗り続けられる人もいるくらいですからね。

なかなか自覚しづらいところではありますが、カウンセリングで対話を重ねていく中で少しずつ認めることができてきます。

記事の投稿者


心理カウンセラー西橋康介

性犯罪を改善するためのノウハウ