痴漢や盗撮など性犯罪のカウンセリングをしていると、何人かに一人必ず性癖をなくしたいという人がいます。
性癖があるから性犯罪をしてしまう。だから、やめるために「性癖をなくそう」という考えになるのでしょう。
この考え方は非常に短絡的です。
そもそも性癖があっても性犯罪をしない人なんていくらでもいますよね。
というか、性癖がない人を探すほうが難しいほど、誰でも何かしらの性癖は持っています。
性癖があるから性犯罪をするという話ではありませんが、性癖が全く無関係とも言えません。
どれだけの影響を与えているのでしょうか?
性癖がどのように形成されるのか、性犯罪につながるところをお伝えしていきます。
性癖って何?
性質上のかたより。くせ。「大言壮語する性癖がある」
[補説]「性」を性質の意ではなく性交の意ととらえ、誤って、性的まじわりの際に現れるくせ・嗜好、交接時の習慣・習性の意で用いることがある。
引用元:デジタル大辞泉
もともとは性格の特長みたいな意味だったのが、性的嗜好と同じ意味合いで使われるようになったんですよね。
覗き、盗撮、痴漢、露出、ロリコン、SM、野外SEX、ネトラレ(NTR)願望。他には極端な身長差、極端な年齢差などもありました。
胸やお尻など特定の部位や仕草に興奮するフェティシズム(フェチ)も含むのであればかなり幅広い範囲になります。
誰しも何か一つは該当するものではないでしょうか?
どのようにして性癖は形成されるのか?
男性の性欲は10歳くらいから一気に高まり、20歳頃にピークを迎えます。
しかし、10歳と言えばまだ小学校4年か5年くらい。
思春期に差し掛かる期間とはいえまだ精通していない子の方が多い時期ですよね。
生殖活動ができない状態なのに性欲は満たさずにいられない。
だから、女性の裸を見たり、下着を見たり、たまたま女性のお尻に触れたり、代替手段で性的欲求を満たすようになる。
これが性癖になるわけです。
人によって10歳になる前から性に強い関心があり、早い段階で性癖が形成されるケースもあります。
問題は性癖ではなく性的倒錯
性癖があること自体は何ら問題ありません。
しかし、異常性欲の状態である性的倒錯となれば話は別。
性欲が質的に異常な状態。性対象が自己・小児・近親などであるものと、性目標が露出・窃視(せっし)(のぞき見)やマゾヒズムのような疼痛(とうつう)などであるものとに分けられる。異常性欲。性倒錯。パラフィリア。
引用元:デジタル大辞泉
性的倒錯は性的嗜好障害とも呼ばれ、性道徳や社会通念から逸脱した性的嗜好です。
つまり、問題を起こさない範囲で楽しめるのが性癖、問題を起こしてしまうのが性的倒錯だと言えます。
痴漢や盗撮をする人は他人を傷つけ、法に触れることをやっているから間違いなく性的倒錯に該当しますよね。
性的倒錯になってしまうのはなぜ?
性癖があっても相手と関係を築き合意の上でやれば何の問題もありません。
当然ながら妻の合意がある上で体を触ったとしても痴漢にはならないわけです。
性的倒錯は相手を物であるかのように扱い、自分の欲求を一方通行でぶつけています。
本当は相互通行で満たしたいと思っていても、相手が自分を受け入れてくれないとなれば強行手段を取るしかない。
だから、相手の感情を無視して自分の都合のいい考えで正当化するのです。
相手の感情を感じてしまったら、自分に都合よく考えなかったら、一方的に欲求を押し付けることなんてできなくなりますからね。
性的倒錯の背景にしっかり目を向けていく
大切なのは「なぜ自分が性的倒錯になっているのか」を知ろうとすることです。
母親との関係、学生時代の女性関係、大人になってからの女性関係…どこかのタイミングで女性とのコミュニケーションに躓いたのは間違いありません。
もしかすると、女性だけでなく男性とのコミュニケーションも相互通行になっていないかもしれない。
自分だけで考えてもなかなか自覚できないところですが、カウンセリングで性癖、女性とのかかわり、人とのコミュニケーション等をお話しいただければ気付いていくことができます。
自分ができていないことを認めるのはなかなか難しいことです。
できていると思っていたほうが楽ですから。
でも、問題が起こってしまう以上、しっかり自分と向き合って認められるようになることが必要なのです。
「性犯罪をするのは性癖が問題だ」という短絡的な考えで終わらせないようにしてください。
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